キャッシュレス決済の仕組みとメリット・デメリット
日本でも浸透しつつあり、今後も普及していくと思われるキャッシュレス決済。現金払いと比べて、どのような利便性があるのでしょうか。キャッシュレス決済の種類や仕組み、メリットとデメリットについて解説します。
キャッシュレス決済とは
キャッシュレス決済とは、現金を使わずに代金を支払う方法のことです。現金(キャッシュ)が不要(レス)な決済なので、キャッシュレス決済と呼びます。
近年、日本でもキャッシュレス決済を利用する人が増えていますが、世界的に見るとキャッシュレス決済比率は高いとは言えず、韓国、中国、アメリカ、インドよりも遅れているというのが現状です。
キャッシュレス決済の種類
キャッシュレス決済には、主に次のような種類があります。
クレジットカード決済
1950年代にアメリカで誕生し、現在では世界中に普及している代表的なキャッシュレス決済です。クレジットカード決済は、商品購入に際し、カードを所有する人の信用に基づいて後払いで決済が行われます。
この決済方法のメリットとしては、利用できる店舗が圧倒的に多いことが挙げられます。国内はもちろん、国外でも使えるお店や施設が多いため、海外旅行での決済方法としてもよく利用されます。また、分割払いやリボ払いといった支払い方法も豊富で、カード会社によっては海外旅行保険や盗難補償などのサービスがあるのもうれしいポイントです。
その一方で、支払い額が思った以上に大きくなってしまう可能性があります。
電子マネー決済
電子マネー決済は、専用のカードやスマートフォンアプリにお金をチャージ(入金)して支払う決済方法です。SuicaやPASMOなどの交通系電子マネーのほか、ショッピング系電子マネーなど、現在では非常に多くの電子マネーが登場しています。
この決済方法のメリットは、クレジットカードを作るときのような審査が不要な点です。また、カードやスマホを専用端末にかざすだけで支払いが完了するという手軽さも魅力です。
ただし、残高がなくなる前にチャージをしなくてはいけないため、手間に感じる方もいるかもしれません。
QRコード決済(バーコード決済)
QRコード決済は、スマートフォンにダウンロードした専用アプリのQRコードを使う決済方法です。ユーザーがスマホにQRコードを表示させて店側がスキャナーで読み取るパターンと、店側が提示するQRコードをユーザー側が読み取るパターンがあります。QRコードではなくバーコードを使う方法もあり、まとめてコード決済とも呼ばれます。
QRコード決済のメリットは、スマホにアプリをダウンロードするだけで利用ができるという手軽さです。クレジットカードを紐づけておけば、チャージをする必要もありません。
ただし、スマホを忘れてしまったり、スマホの充電が切れてしまったりすると利用できないため注意が必要です。
デビットカード決済
カードの決済と同時に、銀行口座から同額のお金が引き落とされる決済方法です。銀行口座の残高が足りない場合は利用できません。キャッシュカードと一体型のタイプと、別途デビット決済専用カードが提供されるタイプがあります。クレジットカードと同様に、国際ブランドと提携している場合は、原則その加盟店でカードが使えます。
デビットカード決済のメリットは、クレジットカードを作成するときのような審査が不要であり、職業や年収などに関わらず誰でも作りやすい点です。また、銀行口座の残高分しか利用ができないため、使いすぎる心配もありません。
デメリットとしては、支払い方法が一括払いのみであることが挙げられます。口座残高の範囲内でしか買い物できないため、大きな金額の際には不便に感じることもあるでしょう。
キャッシュレス決済の仕組み
キャッシュレス決済は次の3つの方式に分けられます。それぞれの仕組みを説明します。
前払い
事前にお金をチャージしておき、商品の購入時にチャージした金額から支払うのが前払い方式です。電子マネー決済は前払いであることが多いです。
即時決済
商品を購入する際に、すぐさま銀行口座から料金が引き落とされるのが即時決済方式です。デビットカードのほか、QRコード決済のなかにも即時決済方式を利用できるものがあります。
後払い
商品を購入する時点では支払いは発生せず、翌月などの支払日に指定銀行口座からの引き落としなどで毎月の利用金額をまとめて支払うのが後払い方式です。クレジットカード決済はこの方式です。
キャッシュレス決済のメリット
では消費者がキャッシュレス決済を利用するメリットは何でしょうか?
まず挙げられるのは支払いが楽になることです。現金をたくさん持ち歩く必要がなくなるため、時間や手間をかけずスピーディーに支払いができます。昨今はレジカウンターはもちろん、自動販売機でも電子マネーが利用できたりと、キャッシュレス決済を利用できる機会が増えています。
また決済の履歴が残るため、お金の流れをあとから確認でき、管理しやすくなります。
加えて、キャッシュレス決済は利用時にポイントが付くのもメリットです。電子マネーやクレジットカードはポイントが貯まる仕組みが用意されており、さらに電子マネー機能付きクレジットカードならクレジットカードを使ったチャージでもポイントが貯まるのが一般的です。QRコード決済にもポイントサービスは設けられています。航空会社系クレジットカードの場合はポイントの代わりにマイルが貯まり、貯まったマイルを特典航空券に交換できることから人気があります。
キャッシュレス決済のデメリット
一方、キャッシュレス決済のデメリットとしては、利用できる店舗が限られることが挙げられます。お店によってはクレジットカードが利用できても、電子マネーやQRコード決済に対応していないようなケースもあります。キャッシュレス決済は基本的に電子機器を使用するため、災害時などでスマホの充電が切れると使えなくなることも考えられます。
またセキュリティに対するリスクも念頭に入れておくべきでしょう。クレジットカードの磁気情報を読み取るスキミングによる被害は現在も少なくありません。電子マネー決済やQRコード決済に紐付けられているケースも含め、サイバー攻撃によりクレジットカード情報が盗み出されるケースもあります。セキュリティ対策については、事業者はもちろんですが、ユーザー自身も取り扱いに注意する必要があるでしょう。
キャッシュレス決済を利用するときのポイント
ここからは、キャッシュレス決済を利用する際のポイントについて詳しく見ていきましょう。
自分に合ったキャッシュレス決済の選び方
前述の通り、キャッシュレス決済にはさまざまな種類があるため、自分に合ったタイプを選ぶことが大切です。例えば、クレジットカード決済は分割払いやリボ払いにも対応しているため、大きな買い物をするときに便利ですが、使い過ぎてしまう心配のある方や、利用額の管理が苦手な方は、前払い方式のQRコード決済や電子マネーの方が安心かもしれません。
それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、どのキャッシュレス決済にするのかを選びましょう。
キャッシュレス決済利用における注意点
キャッシュレス決済を利用する際に気をつけなくてはいけないのが、自分の支払い能力の範囲で利用するということです。特にクレジットカード決済や、クレジットカードと紐づけている電子マネー・QRコード決済などは後払いのため、手持ちの現金がなくても買い物ができてしまいます。知らない間に利用額が膨れて返済ができなくなってしまうと、信用情報にも関わりますので気をつけましょう。
また、キャッシュレス決済の種類によっては、対応していない店舗や国もあります。万が一使えないときのために、国内外の多くの地域・お店で利用することできるクレジットカードをもう一種類用意すると安心でしょう。
キャッシュレス決済は政府も推奨しており広く浸透してきています。利用者のメリットも多いので賢く導入し、活用していきましょう。