病院でクレジットカードは使える? メリットや注意点など
病気・ケガなどで病院を受診した際、予期せぬ治療や検査などで医療費の請求が予想以上に高額となるケースがあります。そのようなとき、クレジットカードが利用できると非常に便利です。
この記事では、医療機関でのクレジットカード決済の普及状況や、病院でクレジットカードを利用するメリット、そして注意点について詳しくご紹介していきます。
なお、本記事は2024年4月時点の情報にもとづいて作成されています。最新の情報は、公式サイトなどにてご確認ください。
病院でのクレジットカード利用の現状
まず、どのくらいの病院でクレジットカード決済が普及しているのかを確認してみましょう。
厚生労働省が実施した2022年の調査では、日本国内の病院におけるデビットカードを含むクレジットカードの普及率は60.9%となっており、半数以上の病院がクレジットカード決済に対応していることがわかります。
商業施設や飲食店などでの普及率に比べるとやや低い数字ではありますが、新型コロナウイルスの影響で非接触型決済が注目されたことが後押しとなり、従来よりも利用できる病院が増加。今後もクレジットカード決済は普及していくでしょう。
参考:厚生労働省「令和4年度「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」の結果」
クレジットカードを病院で利用するメリット
病院でクレジットカード決済を利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
入院中に多額の現金を持っておく必要がない
入院や手術にかかる医療費というのは、どのくらいの金額になるのか予想がつきにくいケースもあるでしょう。場合によっては想定より高額になることも考えられるため、多めに現金を用意する必要があります。
しかし入院中に多額の現金を持つのは防犯上避けたいほか、そもそも持ち込まないように病院側から言われるケースもあります。
そのような場合、退院に合わせて家族に現金を持ってきてもらう、後払いに対応している病院であれば後払いにするなどの方法もありますが、クレジットカードを用意しておけば退院時に自分で精算できるので安心です。
医療費・入院費でポイントやマイルが貯まる
クレジットカード決済を利用する大きなメリットの一つが、ポイントやマイルが貯まることです。
ポイントやマイルを積極的に貯めている人のなかには、現金払いはもったいないと感じる人もいるでしょう。定期的な通院や入院・手術などで医療費が高額になる場合でも、クレジットカード払いにすることで多くのポイントやマイルを貯めることができます。
また、効率的に貯められるカードを選ぶことで、よりおトクにポイント・マイルを貯めることができるでしょう。
クレジットカードによっては貯まったポイントは、ほかのポイントやマイルに交換することもできます。
すぐに現金を用意できなくても治療を受けられる安心感がある
医療費を現金で支払うときは、一括払いが基本です。入院や手術などで医療費が高額になると、大きな金額を一度に用意しなくてはいけないため、人によっては負担になってしまうことも。
しかし病気になったときに、手元のお金に余裕がないからといって病院に行くのをためらうと、病状を悪化させてしまう可能性もあります。
そんなときもクレジットカードで決済すると、医療費を複数に分けて払う分割払いやリボ払い、ボーナス払いなどを利用できる場合があるため、一度に支払う金額を抑えられます。
ただしクレジットカード払いができる医療機関でも、支払い方法は1回払いのみというケースもあるので注意しましょう。
病院でのクレジットカード利用の注意点
病院でのクレジットカード利用には多くのメリットがありますが、一方で気をつけるべき点もあります。
ここからは、病院でクレジットカードを利用する際の注意点をご紹介します。
クレジットカード払いができるかどうかの事前確認
そもそも、クレジットカード決済に対応しているかどうか事前確認が必要です。クレジットカード払いが可能でも、1回払いのみ対応というケースもあります。
総合病院など地域の基幹病院ではクレジットカード決済が普及していますが、規模の小さな病院では未対応であったり、使用できるブランドが限られている場合があります。
所有しているクレジットカードが利用できるかどうか、事前に確認しておきましょう。
特に病院では、普段の通院でクレジットカード払いをしていても、時間外の診療や入院時の預り金(保証金)は現金のみなど、状況によってクレジットカード払いを受け付けていないこともあるので注意が必要です。
医療費がクレジットカードの限度額を超えないか確認
手数料や利用可能枠についても事前の確認が必要です。
クレジットカードには「利用限度額」が設定されており、この限度額を超えるとクレジットカードでの決済ができません。
手術や長期の入院などで医療費が高額になる場合には、限度額を超えてしまうこともあるため注意が必要でしょう。
ただし、クレジットカード会社によっては一時的に限度額を増額できることもあります。増額には審査が必要なため、高額な医療費が想定される場合は、早めに申請をしておきましょう。
医療費控除の手続きに関する注意
病院でクレジットカードを利用する際、医療費控除のことが気になる方も多いかもしれません。結論からいうと、病院でクレジットカード払いをした費用も医療費控除の対象となります。
医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間で、一定金額を超える医療費を支払った際に申告すると、所得税等が軽減される制度です。
生計を同一にする家族の分をまとめて10万円(総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%)を超える医療費を支払うと、最高200万円が医療費控除として所得金額から差し引かれます。
医療費控除額は、「支払った医療費の合計金額」から「保険金などで補てんされた金額」を引き、そこからさらに「10万円(総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%)」を引いた額が対象です。
ただし、分割払いやリボ払いなどで発生した利息については、控除の対象にはなりません。
控除を受けるためには医療費を支払った翌年の期間内(2月16日〜3月15日)に確定申告を行います。
医療費控除を確定申告する際に、病院が発行した領収書やカード利用明細の提出・提示は不要ですが、5年間は自宅等で保管しておく必要があります。
クレジットカード払いに対応している病院は年々増えています。かかりつけの病院がクレジットカード決済に対応しているかどうかを事前にチェックしたうえで、賢く利用しましょう。