函館 西部地区はまるでパラレルワールドだ!

もしも戊辰戦争が行われず、新政府軍と旧幕府軍が双方の優秀な人材を失うことなく明治維新が成立していたら・・・。もしも日本が太平洋戦争に突き進むことなく、多くの国民の命を犠牲にせずに済んでいたら・・・。
この街を歩いていると、ついそんな空想(ロマン)にふけってしまう。いまとは違う道を選んだもう一つの日本、つまりパラレルワールドに迷い込んでしまったかのような感覚を味わえる不思議な街、それが函館の西部地区だ。

函館 西部地区

函館 西部地区とは?

函館駅の西側、函館市街西部に位置する函館山麓の地区。和風、洋風、和洋折衷建築など、レトロな建物が並ぶ。

函館空港からのアクセス
JR函館駅までバス
(函館帝産バス 函館空港線)で約20分
函館市電 函館駅前から十字街まで約5分

函館の歴史

旧函館区公会堂
(2021年春まで工事中)
旧イギリス領事館

旧北海道庁函館支庁庁舎(現在は函館市元町観光案内所)
函館は、北海道で最も早くから開け、幕末には最初に開港した五港のひとつとして幕府から自由な貿易が許された。異国の商船、軍艦、捕鯨船が港に出入りするようになり、幕末から明治にかけて、米、露、英、仏、独などの外国人が街中で見られるようになった。
相馬株式会社
西欧文化の影響を直接受けた函館、とりわけ当時の中心であった西部地区には、領事館や教会など、今もその面影をとどめた建物や街並みが多く残っている。特に山の手にある元町周辺は、各国の様式を備えた洋風建築物のテーマパークのようだ。代表的な建物として、旧函館区公会堂(重要文化財・保存修理のため2021年春まで休館中)、旧北海道庁函館支庁庁舎(北海道指定有形文化財)、相馬株式会社社屋などがある。昔の洋風建築がいくつか残っているというだけのことであれば、そんな都市はほかにもある。しかし、函館・西部地区のように広い範囲にわたって数多く見受けられる街は珍しい。

独特の建築様式

太刀川家住宅店舗
加えて、函館ならではの街並みを形成しているのが、1階が和風で2階が洋風、あるいはその逆というような和洋折衷型の「擬洋風建築物」だ。当時、函館の大工が領事館や教会など外国の建築様式を見て、この独特のスタイルを生み出したといわれ、装飾された縦長の窓やペンキできれいに塗られた壁などが共通して見られる特徴だ。代表的なものだけでも、太刀川家住宅店舗(重要文化財)や旧金森洋物店(北海道指定有形文化財)、和雑貨いろは、旧茶屋亭など数多い。
旧金森洋物店(現在は市立函館博物館郷土資料館)
和雑貨いろは
旧茶屋亭

協会と寺社の同居

異種文化の共存は、和洋折衷の家屋だけではない。宗派も建築様式もまったく異なる教会や寺社が何の違和感もなく立ち並んでいるのも函館ならではだ。元町にはロシア正教のハリストス聖教会、カトリック元町教会、聖ヨハネ教会、東本願寺函館別院、日本基督教団函館教団が隣り合い、函館最古の高龍寺や護国神社もそう遠くはない。
共存といえば、海を見下ろせる船見町の丘には外国人墓地があり、ペリー来航時の水夫も眠っている。そしてその近くには、ロシア人墓地や中国人墓地、そしてお寺のお墓が隣り合っていて、お墓まで仲良く共存している。
ハリストス正教会
カトリック元町教会
東本願寺函館別院
外国人墓地

数多くの大火を経た防火対策

函館山のふもとに広がる西部地区の特徴的な景観として、異国情緒とともに挙げられるのが、広くて真っ直ぐな坂である。函館の坂も昔は幅が狭く曲がっていたため、いったん火事が起きてしまうと密集した家々は海からの強い風を受けてすぐに燃え広がり、明治から昭和初期にかけて幾度となく大火に見舞われた。そこで、防火対策として、延焼が起きないように幅が広くまっすぐな道に造り替えられたのだ。

また、函館はコンクリート建造物が多い街としても有名。大火から建物の焼失を防ぐために、耐火性のあるコンクリート建造物が増えていったという。東本願寺函館別院も明治40年の大火で焼失し、大正4年に当時のお寺としては珍しいコンクリート製として再建された。

ニ十間坂

レトロな建物が建ち並ぶ理由

そして現在、函館市では、「歴史的な建造物が数多く存在し、自然その他の環境と一体となって函館らしい歴史と文化を表現し形づくっている景観を有する地域」を『都市景観形成地域』として指定し、条例を定め景観形成に努めている。すなわち、景観形成基準の設定、建築時の届出、景観に配慮して建てられた建物に対する奨励金の交付などである。西部地区を歩いていると、上手にリノベーションした建物や、新築に違いないのに昔の洋風建築のようなオシャレなデザインの建物を見かけるのは、そういう理由もあったのだ。

洋風建築、和洋折衷家屋、異種文化の共存、広くて真っ直ぐな坂、そして景観保全の努力。どこか懐かしいのに、まるで違う日本にいるような感覚は、それらが渾然となって醸し出されてくるのだろう。街を歩いていると、所々に廃屋らしき建物が出現するのも、その不思議な感覚を増幅させてくれる。レトロ感覚、ロマン、パラレルワールド・・・人によって表現は違うだろうが、あなたもぜひ函館・西部地区をゆっくり歩いて、この不思議な感覚を愉しんでみてはいかがだろうか。

PICK UP

函館まちあるきマップ
函館を歩いて回る人のために無料の「函館まちあるきマップ」が用意されている。
テーマ別に26種類もあるので、自分の興味に合ったマップがきっとあるはずだ。
地域交流まちづくりセンターや函館市元町観光案内所に置いてあるほか、函館市公式観光サイト「はこぶら」でダウンロードすることもできる。

西部地区の愉しみ方 西部地区の愉しみ方

深谷宏治さん
深谷宏治さん

函館の食材といえばイカが有名ですが、最近は不漁続き。代わりにブリが豊漁ですが、私的にはこれからは“はた”です。鮮度が良くて脂がのっていて、あのロブションも絶賛した函館のはたは世界一になると思います。

ラ・コンチャ ラ・コンチャ
2005年にオープンしたバル・レストラン「ラ・コンチャ」も 和洋折衷の擬洋風建築。大正10年に建てられた米屋だった深谷さんの実家をリノベーションしたものだ。

Interview

西部地区は、スペインの飲み歩き・食べ歩き文化を再現したイベント「バル街」発祥の地としても知られる。「バル街」の発起人で、スペイン・バスク料理の第一人者でもある「レストラン・バスク」「ラ・コンチャ」のオーナーシェフ深谷宏治さんにお話をうかがった。

―― 西部地区は異国情緒ただよう、かなり独特な街並みですね。

深谷 160年くらい前の開港で外国との通商が始まったのが大きいわけですが、函館はその前から北海道の中では一番栄えていた港町でした。海産物を日本各地あるいは海外へ送るための生産基地として、かなりの富が函館に集まりました。そのため建物にもお金をかけることができたんです。残念ながら何度かの大火によって焼失した建物も多いですが、空襲の被害は他の都市に比べると少なかった。さらには戦後の高度経済成長のときに取り残され、街は西から東に移っていきました。結果として古い建物が残ったんです。

―― 西部地区は、古い建物が残っているだけでなく、
リノベーションでそれらを生かして使っているところも多いですね。

深谷 景観保全ということだと思います。僕はスペインで料理の修業をしたんですが、ヨーロッパは、街全体の雰囲気が統一されているところが多いですよね。マドリード、パリ、ウィーン・・・。行政が管理しているだけでなく、街の景観が損なわれるような建造物が建つときには住民の反対運動もあった。京都や飛騨高山などは別ですが、日本のほとんどの街はそれがなくて、好き勝手に建てては壊し、壊しては建て。日本でもそれはおかしいんじゃないかという声が出始めたのがバブルの少し前くらいでしょうか。 西部地区でも、これらの景観は街の宝であり、残した方がいいという機運が住民の間で起こったんです。

―― 旅行で訪れる人に西部地区の愉しみ方を教えて下さい。

深谷 観光ガイドの記事はどうしても観光地を点で紹介しますが、西部地区が好きなリピーターの観光客の方は、点ではなく線で西部地区を楽しんでいる人が多いように思います。線とは何かというと、点と点の間にある昔からの函館の街並みや庶民の家です。それらを見て歩いていると、なんだかホッとするという人が多いですね。公会堂、教会、函館山といった有名な観光スポットだけをピンポイントで訪れると、そういうものを見逃してしまうことになります。

函館旅行こぼれ話

見どころ盛りだくさんの函館だが、外せないのが函館山からの夜景、五稜郭、そして2つの修道院だ。

さまざまな夜景

  • 函館の夜景
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函館旅行のハイライトはなんといっても函館山展望台からの夜景だ。天気が悪くて夜景が見られなかったりすると、自分の運のなさを呪わずにはいられない(私は2日連続、雲で見られず、3日目にようやく見られた)。地元の人によると、夜景を見るなら空気が澄む秋から冬、特にイルミネーションが増える12月がおすすめだそうだ。通な旅人は、函館山と反対方向から眺める「裏夜景」やベイエリアの夜景も楽しんでいるぞ。

五稜郭とその設計者

函館に行ったら絶対に見逃してほしくないのが五稜郭。よくもあの時代にこんな星形のオシャレなデザインの城郭を築いたものだ。五稜郭の設計者は伊予(愛媛県)大洲藩出身の蘭学者・武田斐三郎(あやさぶろう)。西洋の築城書を頼りにフランスの軍人の助言も得ながら設計したらしい。本当にすごい人だ。ところで、五稜郭の素晴らしさは五稜郭タワーに上らないとわからない。だから五稜郭タワーを建てた中野真輔さんもすごい人だ。

五稜郭タワー

トラピスト修道院とトラピスチヌ修道院

2つを混同している人もけっこういるかもしれないが、トラピスト修道院は函館市の隣の北斗市にある日本最初の男子修道院。トラピスチヌ修道院は函館市内にある日本最初の女子修道院だ。どちらもフランスの厳律シトー会がルーツで、明治時代に当時の函館司教ベルリオーズによって招来された。トラピスト修道院は厳格な雰囲気で並木と赤レンガが美しく、修道士が作るバターやクッキーが有名。トラピスチヌ修道院は庭が美しく優しい雰囲気で、こちらもクッキーや素朴な味のマドレーヌ「マダレナ」が人気だ。

  • トラピスト修道院
  • トラピスチヌ修道院

厳選 JALカード特約店ホテル

HAKODATE 海峡の風

「大正ロマン、昭和レトロ、平成モダン」がコンセプト。
歴史情緒あふれる街「函館」にふさわしいホテル「HAKODATE 海峡の風」を紹介します。

»DATA

HAKODATE 海峡の風

住所 北海道函館市湯川町1-18-15
TEL 0570-026573

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