渡辺 裕希子=文
赤、黄色、緑、水色。山の斜面に張り付くように建ち並ぶ、色鮮やかな家々に圧倒される。メキシコ中部の「グアナファト」は、ヨーロッパの影響が色濃く残る世界遺産の街。18世紀に銀の採掘で得た富によって、「メキシコで最も美しい」と称される街並みが作り上げられた。郊外の鉱山見学や美術館、教会などの見どころもあるが、ここでの過ごし方は街歩きに限る。複雑に入り組んだ細い路地を、好奇心の赴くままに。ふと迷い込んで、自分だけの場所を見つけるのも楽しい。
橙色の明かりが灯り始めると、街は一層輝きを増す。どこからともなく現れる楽団が演奏を聴かせ、陽気に踊る人々の姿も。中世の雰囲気に浸りながら、夜はゆっくりと更けていく。
日本からグアナファトへの直行便はないので、ダラスなどで乗り換えが必要。飛行機でのアクセス以外にも、メキシコシティからバス(所要時間約4時間半)の旅もまた楽しいので、あわせて巡るのもいいだろう。
街を見下ろす「ピピラの丘」は夜景の名所。夜は人通りが少ないので、ガイド付きツアーの利用がおすすめ。
白で統一されたグアナファト大学。入り口の大階段は観光名所にもなっている。