TRAVEL COLUMN

トラベル×グルメコラム 2018.04 ニュージーランド/レイク・テカポ 「善き羊飼いの教会」の背景に星空が広がる写真は、テカポを象徴する1枚。写真撮影を目当てに、毎晩多くの観光客が訪れている。©Vaughan Brookfield

\コラムをリニューアルしました!/

今月号より、世界各国や国内の郷土料理・名産品など、「グルメ」要素を取り入れたトラベルコラムを連載いたします!初回はニュージーランドのテカポをご紹介。

水質に恵まれた南島はキング・サーモンの宝庫。

渡辺 裕希子=文

 ニュージーランド、南島にあるテカポ村。ミルキーブルーの湖と石造りの教会に見守られた小さな村は、いつからか「世界一美しい星空が見られる場所」として知られるようになった。自然豊かなニュージーランドでは、街を少し離れるだけで、どこからでも満天の星を眺めることができる。テカポが特別なのは、1年を通して晴れの日が多く、空気が乾燥しているから。最高峰のマウント・クックにアクセスしやすいこともあり、人気が高まっている。
 ここを訪れた旅人のもうひとつの楽しみが、肉厚で脂がのったキング・サーモンの料理。「はるばる南半球まで来て、サーモン?」と不思議に思うかもしれないが、水質に恵まれた南島は希少なキング・サーモンの宝庫。川や湖には天然のキング・サーモンが生息しているほか、各地に養殖場があり、自然に極めて近い状態で育てられている。なかでも、和食レストラン『KOHAN』のサーモン丼は、テカポ近郊の雪溶け水で育ったサーモンの刺身がたっぷりのった地元の人にも人気の一品。窓の向こうに広がるテカポ湖とサザンアルプスの山々を眺めながらいただくと、美味しさもひとしおだ。
 腹ごしらえの後は目の前の湖畔を散策してみよう。絵の具で塗ったようなミルキーブルーの湖は、近づくと吸い込まれそうなほど透み切っている。
 テカポ村は現在、村をあげて星空の世界遺産登録を目指している。これまで以上に観光客が増えても、満天の星と湖の眺め、そしてサーモン丼の味が変わらないことを、心から願ってやまない。

サーモン丼

刺身の下には卵焼きが隠れている。ご飯のなかにもサーモンのぶつ切りがゴロゴロ。

ルピナス

どこまでも青く美しいテカポ湖の風景。季節によって表情が異なり、10~12月頃にはルピナスの花が咲く。