TRAVEL COLUMN

渡辺 裕希子=文
マカオでは何をして過ごしたらいいだろう。ヨーロッパとアジアが混じり合った世界遺産の街を散歩するか、ネオン煌めくカジノリゾートへ夜な夜な繰り出すか。どちらも魅力的だが、旅の目的にぜひとも加えたいものがある。マカオ料理だ。
大航海時代より貿易拠点だったマカオには、アフリカやインド、中国、マレーシアなどの食文化が持ち込まれた。それらの食材や調味料、調理方法を巧みに取り入れ、独自の発展を遂げたのがマカオ料理。素材の持ち味を生かしたポルトガル料理がベースとなっており、日本人の口にも馴染みやすい。
例えば、マカオ名物の「アフリカンチキン」は、船乗りたちが経由地のアフリカで食べた料理をアレンジしたものと言われている。調理法は店によって異なるが、スパイスにココナッツミルクを合わせた甘辛いソースが基本。カレーと似た風味が食欲をそそる、マカオのソウルフードだ。
日本でも流行した「エッグタルト」は、ポルトガルの伝統菓子「パステル・デ・ナタ」が起源。サクッと軽い生地と、濃厚なカスタードクリーム。その美味しさが際立つのは、熱々の焼きたてを口にしたとき。街のあちらこちらに店があるので、観光ついでに食べ比べを楽しむのもいいだろう。
マカオ料理は2012年にユネスコの無形文化遺産に、マカオは2017年にユネスコ食文化創造都市に登録された。食べるために、マカオへ。これからは、そんな過ごし方も定番となるかもしれない。

〔セナド広場〕波型模様の石畳とパステルカラーの建物が美しいセナド広場。マカオ観光の拠点であり、広場自体が世界遺産に指定されている。
©MGTO.All Right Reserved

〔アフリカンチキン〕鶏肉のグリルに甘辛いソースを絡めた一品。ポルトガルワインとの相性も抜群。
©MGTO.All Right Reserved