クレジットカードの仕組みとは?メリット・デメリットや利用時の注意点も解説
クレジットカードを利用したいと思ってはいるけれど、基本的な仕組みや注意点がわからず不安があるという方もいるのではないでしょうか。クレジットカードはどんな点が便利で、何に気をつけて使うべきなのでしょう?クレジットカードの仕組み、利用時の注意点、使い方などについて説明します。
目次
クレジットカードとは
クレジットカードとは、商品を購入する際に現金を直接やりとりすることなく、カード所有者の信用に基づいて、後払いによる決済ができるカードです。
クレジットカードを所有していれば、加盟店の店頭、インターネットでのショッピング、電気・ガスなどの公共料金や、税金の支払いなどに利用できます。
クレジット(credit)は信用、信頼という意味を持つ言葉です。消費者の支払い意思や支払い能力といった「信用」に基づいて商品を後払いで販売する方法は、「販売信用」とも呼ばれます。販売信用には消費者と販売会社の間で直接契約して販売する方法と、クレジットカード会社などの第三者が入って三者間で契約する方法があります。このうち、クレジットカードは後者の消費者、加盟店、クレジットカード会社の三者の契約による販売方法といえます。
クレジットカードの仕組み
クレジットカードによる決済はどのような仕組みで成り立っているのでしょうか。なぜお店に現金を支払わなくても商品を購入できるのかを説明します。
クレジットカード決済の流れ
クレジットカードを使った決済は次のような流れで行われます。実店舗でもネットショップでも基本は同じです。
1.消費者がお店(加盟店)で購入する際に「クレジットカード払い」を選択します。
2.消費者がクレジットカードを利用したという情報がクレジットカード会社に届くと、クレジットカード会社が消費者に代わって購入代金をお店に支払います。その際、お店が負担する決済手数料(加盟店手数料)が発生するため、購入代金から手数料を差し引いた金額が支払われます。
3.クレジットカード会社が購入代金の請求明細を発行し、消費者は口座引き落としなどの方法でクレジットカード会社に購入代金を支払います。
なぜクレジットカード決済が成り立つの?
クレジットカード決済が成り立つ理由は、クレジットカード会社とお店の双方にメリットがあるからです。消費者にもメリットが生じますが、それについては後述します。
クレジットカード会社はクレジットカード決済が行われるたびにお店から決済手数料を徴収し、利益を得ます。そのために消費者の代わりに購入代金をお店に支払い、後日、消費者に購入代金を請求して、消費者とお店をつなぐ役割を果たします。また場合によっては、消費者からカード年会費も徴収します。
では、お店側はなぜ決済手数料を支払ってまでクレジットカード決済を導入するのでしょうか。その理由の一つが、「販売機会の損失を避けることができる」ということです。クレジットカードが利用できるお店は、クレジットカード会社と加盟店契約を結んでいます。消費者は現金を持っていなくても、加盟店であればクレジットカードを使って商品を購入できます。また海外旅行者の買い物においても、両替などの手間がかかりません。そのためお店は販売機会を逃さずに、利益を得ることが可能となるのです。
日本のネットショッピングにおいては、クレジットカード決済が最も多く利用されています。加えてクレジットカード決済は一度の購入金額が高くなる傾向があり、お店の売上アップも期待できます。
なお、クレジットカード決済は消費者の信用を大前提としています。そのため消費者がクレジットカードを作り、会員となる際は、必ず審査が行われます。前払いのプリペイドカードや、銀行口座から即時払いされるデビットカードとはその点が異なります。クレジットカードが利用される際にも、クレジットカードの有効性、利用限度額、購入金額分の利用枠確保といった承認処理が行われます。
クレジットカード利用者(消費者)のメリット・デメリット
消費者、つまりクレジットカードを利用する側にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
クレジットカード利用者のメリット
最も大きなメリットは現金なしで決済ができることです。特に実店舗の場合、手持ちの現金が足りなくても、欲しいときに商品を購入し、あとでまとめて精算できます。一括払いはもちろん、回数を指定して分割で支払うことも可能なので、高額商品の支払い負担も分散できます。ネットショッピングではクレジットカードがあれば簡単に決済が済んでしまうこともメリットとなります。
クレジットカードを利用することで貯まるポイントを、メリットと考える人も増えています。航空会社系のクレジットカードでは、ポイントに代わるマイルを貯めることができ、特典航空券などに交換できます。ほかにも旅行傷害保険やショッピング保険などの付帯保険が付いているカード、特定のお店・施設で割引や優待が受けられるカード、空港ラウンジなど特定のサービスを無料で利用できるカードもあります。
クレジットカード利用者のデメリット
デメリットとしては、お金を使いすぎてしまうリスクが挙げられます。キャッシュレスで購入できるため、お金を使っているという感覚が薄れ、つい購入金額が増えてしまうことがあります。
クレジットカード加盟店のメリット・デメリット
ここからは、クレジットカード加盟店のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
クレジットカード加盟店のメリット
クレジットカード決済を導入することで得られる主なメリットは、以下の通りです。
集客力の向上
キャッシュレス決済が進む現代では、現金しか使えないお店よりも、クレジットカードで決済できるお店の方が選ばれやすくなります。つまり、クレジットカード加盟店になることによって、より多くのお客さまに利用していただき、集客力を上げることができるのです。
売上のアップ
クレジットカード決済は、財布に入っている現金の額を気にせずに買い物ができるため、現金払いよりも1回当たりの支払い金額が高くなる可能性があります。お店にとっては、結果的に売上アップにつながるというわけです。
犯罪やミスのリスク軽減
クレジットカード決済を導入してお店で扱う現金を少なくすることで、盗難をはじめとするさまざまなリスクの軽減にもつながります。混雑時におつりを間違えて渡してしまったり、現金を数え間違えてしまったりといったミスを減らすことも可能です。
感染対策ができる
感染対策のためにクレジットカード決済を導入しているお店も少なくありません。現金による直接的なやり取りを減らすことで、さまざまなウィルスの感染リスクを軽減できます。
クレジットカード加盟店のデメリット
一方、クレジットカード決済を導入することで生じるデメリットとしては、クレジットカード会社や決済代行業者に支払う手数料が発生することや、顧客が支払った代金がクレジットカード会社などから入金されるまでにタイムラグがあることなどが挙げられます。
また、クレジットカード決済を初めて導入する際に、決済端末など初期費用がかかることもあります。
「クレジットカード会社」と「国際ブランド」の違い
ここまで「クレジットカード会社」という言葉を使ってきましたが、これは正確には「クレジットカード発行会社」のことを指しています。クレジットカード発行会社はクレジットカードを実際に発行し、入会手続きや審査といった会員管理、サービス・特典の提供、明細書や請求書の発行などの業務を行っている会社です。クレジットカード発行会社は自社でクレジットカードを発行するほか(プロパーカードと呼ばれます)に、銀行、小売店、航空会社、鉄道事業者などと提携したクレジットカード(提携カード)も発行しています。
これに対し、「国際ブランド」とは世界各国で利用できるクレジットカードのブランドのことです。日本で使われているクレジットカードの多くはいずれかの国際ブランドが付いていて、それぞれの加盟店で利用できる仕組みになっています。
クレジットカードのランク
クレジットカードは、最もスタンダードな「普通カード」、その一つ上の「ゴールドカード」、さらに上のランクにあたる「プラチナカード」と、ランクが分かれています。クレジットカード会社によっても細かな基準は異なりますが、ランクが高くなればなるほど年会費も高くなり、クレジットカードをつくる際の審査も厳しくなるのが一般的です。そのため、ランクの高いクレジットカードは年齢制限や勤続年数、年収などの条件が設けられていることが多く、入手するためのハードルも高くなります。もちろん、ランクの高いカードは、特典や優待サービスの内容が充実しているなど、多くのメリットもあります。
クレジットカードの作り方
では、実際にクレジットカードを作る際の一般的な流れを詳しく見ていきましょう。
1.クレジットカードを選ぶ
カードのブランドだけでなく、年会費、ポイント還元率、付帯保険の有無など、細かい条件やサービスをしっかり見比べて、自分に合ったカードを選びましょう。
JALカードの選び方についてはこちらのページで詳しく解説しています。
・JALカードの上手な選び方~年会費や搭乗回数、マイルの貯め方などから選ぼう~
2.申し込みをする
氏名、生年月日、住所、勤務状況、支払い口座、希望のカードブランドなど必要事項を記入したあと、免許証などの本人確認書類も提出します。最近はインターネット上で手軽に申し込みができるクレジットカードも増えています。
3.カード会社による審査を受ける
申し込みの際に記入した情報などをもとに、カード会社による審査が行われます。
4.クレジットカードの受け取り
カード会社の審査に通過すると、郵送でクレジットカードが送られてきます。
クレジットカードの作り方を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
・クレジットカードの作り方を初心者にも分かりやすく解説!
クレジットカード利用時の注意点
クレジットカードを利用する際は、まずそのカードの利用限度額をしっかりと把握しておく必要があります。また支払い期日までに必ず入金しておくことも重要です。
もし口座からの引き落とし時に残高が不足していると、支払いが遅延し「遅延損害金」が発生します。さらに支払えない状態が続いて数カ月滞納すると、信用情報に傷が付くことになります。この信用情報とは、クレジットやローンなどの信用取引に関する契約内容、返済・支払状況、利用残高などが記載された情報です。この情報に問題があると、今後ほかのクレジットカードが作れなくなり、住宅ローンなどさまざまなローンの審査にも通らなくなってしまいます。
またクレジットカードの不正利用やなりすましなどにも注意すべきです。暗証番号を生年月日に設定したり、どこかにメモしたりすることは避けましょう。ネットショッピングではよくカード裏面にあるセキュリティコードの入力を要求されます。この数字も安易に他人に教えたり、SNSに画像をアップしたりしないように注意してください。クレジットカード番号とセキュリティコードを知られてしまうと、不正利用されるリスクが非常に高くなります。
万が一、クレジットカードの明細書を見ておかしな点があると気づいたときや、紛失してしまったときは、すぐにクレジットカード会社に連絡しましょう。クレジットカードの不正利用については、本人ではない第三者によって不正に利用されたものとクレジットカード会社が認めた場合に限り、補償が適用されるのが一般的です。また、クレジットカードの紛失や盗難に気づいたときも速やかにクレジットカード会社に連絡して、利用を止める手続きをしてください。被害を受けたときは所轄の警察へ被害状況を届け出ることも必要になります。
クレジットカードが不正利用されたときの対処法や、被害に遭わないための対策についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
・クレジットカードが不正利用されたときの対処法と被害に遭わないための対策
万が一、クレジットカードを紛失してしまったときの対処法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
・悪用されないために! クレジットカードを紛失したときの対処法
クレジットカードの基本的な使い方
最後に、初心者の方向けに、基本的なクレジットカードの使い方を説明していきます。
まず、クレジットカードの裏面には自分のサインを書く「署名欄」があります。サインはそのカードの利用者を示しており、カードを利用する際に必要となることがあります。そのためクレジットカードが送られてきたらすぐに裏面にサインをしておきましょう。サインは漢字やひらがな、カタカナ、ローマ字でもかまいません。
次に、実店舗の場合はクレジットカードが使用できるお店であるかを確認する必要があります。レジで直接店員さんに聞いてみるのが確実ですが、使用できるお店にはステッカーなどで国際ブランドのロゴマークが掲示されています。
例えば大手コンビニであれば、どこでもクレジットカードを使用できます。コンビニでの少額の支払いであれば、サインや暗証番号の入力も不要です。クレジットカードは通常、以下のような流れで使うことになります。
1.お会計時に「クレジットカード払いで」と告げてクレジットカードを渡す。
2.お店側でクレジットカード払いの処理を行う。
3.商品とカード、レシートを受け取る。
これだけで決済が完了します。店舗によっては端末にクレジットカードを差し込む場合もあります。
また、お店によってはサインをするか、暗証番号を入力するケースもあります。サインをする場合は、お会計時に「クレジットカード払いで」と告げてクレジットカードを渡したあとに、レシートに似た「売上票(伝票)」が差し出されます。その売上票の下部にある「ご署名」と書かれた欄に、カード裏面と同じ自分のサインをします。最近はタブレット端末にサインをするケースもあります。
暗証番号を入力するケースでは、お店側の端末に暗証番号を入力します。この暗証番号は、クレジットカードを申し込んだときに自分で決めた4桁の数字です。暗証番号を忘れてしまった場合は、サイン方式に変えてもらうことも可能です。
クレジットカードにおける分割払いの仕組み
クレジットカードの便利な機能の一つに、「分割払い」があります。分割払いはその名の通り、購入金額を分割して支払うことで、電化製品など大きな買い物の際に便利です。ただし分割払いは、カード会社からお金を借りて少しずつ返済しているのと同じで、「金利手数料」というものがかかります。そのため、分割する回数が多くなればなるほど、支払う総額も多くなってしまうのです。
クレジットカードにおけるキャッシング機能の仕組み
分割払いのほかにもクレジットカードには便利な機能が付帯しています。それが「キャッシング」機能です。キャッシング機能というのは、コンビニや銀行などに設置されているATMから現金を引き出すことができる機能のことで、国内はもちろん海外でも使用することができます。ただし、キャッシング機能を使うためには、クレジットカードに「キャッシング枠」が設定されている必要があり、引き出せる現金も限度額の範囲までです。また、キャッシングの返済は、一括払いとリボ払いが一般的で、返済時には一定の利息が必要になります。そのため、やみくもにキャッシングを利用しないように注意が必要です。
クレジットカードを作る際には、上記でご紹介した申し込みの流れと使い方を参考にして、自分に合ったものを選びましょう。クレジットカードにはさまざまなメリットがありますが、その仕組みをきちんと理解したうえで、賢く計画的に使うことが大切です。クレジットカードを使ったものの、引き落としができなかったということがないように、支払い期日までに必ず入金をしておきましょう。