もしも戊辰戦争が行われず、新政府軍と旧幕府軍が双方の優秀な人材を失うことなく明治維新が成立していたら・・・。もしも日本が太平洋戦争に突き進むことなく、多くの国民の命を犠牲にせずに済んでいたら・・・。
この街を歩いていると、ついそんな空想にふけってしまう。いまとは違う道を選んだもう一つの日本、つまりパラレルワールドに迷い込んでしまったかのような感覚を味わえる不思議な街、それが函館の西部地区だ。


函館 西部地区とは?
函館駅の西側、函館市街西部に位置する函館山麓の地区。和風、洋風、和洋折衷建築など、レトロな建物が並ぶ。
- 函館空港からのアクセス
- JR函館駅までバス
(函館帝産バス 函館空港線)で約20分
函館市電 函館駅前から十字街まで約5分








共存といえば、海を見下ろせる船見町の丘には外国人墓地があり、ペリー来航時の水夫も眠っている。そしてその近くには、ロシア人墓地や中国人墓地、そしてお寺のお墓が隣り合っていて、お墓まで仲良く共存している。




また、函館はコンクリート建造物が多い街としても有名。大火から建物の焼失を防ぐために、耐火性のあるコンクリート建造物が増えていったという。東本願寺函館別院も明治40年の大火で焼失し、大正4年に当時のお寺としては珍しいコンクリート製として再建された。

洋風建築、和洋折衷家屋、異種文化の共存、広くて真っ直ぐな坂、そして景観保全の努力。どこか懐かしいのに、まるで違う日本にいるような感覚は、それらが渾然となって醸し出されてくるのだろう。街を歩いていると、所々に廃屋らしき建物が出現するのも、その不思議な感覚を増幅させてくれる。レトロ感覚、ロマン、パラレルワールド・・・人によって表現は違うだろうが、あなたもぜひ函館・西部地区をゆっくり歩いて、この不思議な感覚を愉しんでみてはいかがだろうか。
- 函館を歩いて回る人のために無料の「函館まちあるきマップ」が用意されている。
テーマ別に26種類もあるので、自分の興味に合ったマップがきっとあるはずだ。
地域交流まちづくりセンターや函館市元町観光案内所に置いてあるほか、函館市公式観光サイト「はこぶら」でダウンロードすることもできる。


函館の食材といえばイカが有名ですが、最近は不漁続き。代わりにブリが豊漁ですが、私的にはこれからは“はた”です。鮮度が良くて脂がのっていて、あのロブションも絶賛した函館のはたは世界一になると思います。


西部地区は、スペインの飲み歩き・食べ歩き文化を再現したイベント「バル街」発祥の地としても知られる。「バル街」の発起人で、スペイン・バスク料理の第一人者でもある「レストラン・バスク」「ラ・コンチャ」のオーナーシェフ深谷宏治さんにお話をうかがった。
―― 西部地区は異国情緒ただよう、かなり独特な街並みですね。
深谷 160年くらい前の開港で外国との通商が始まったのが大きいわけですが、函館はその前から北海道の中では一番栄えていた港町でした。海産物を日本各地あるいは海外へ送るための生産基地として、かなりの富が函館に集まりました。そのため建物にもお金をかけることができたんです。残念ながら何度かの大火によって焼失した建物も多いですが、空襲の被害は他の都市に比べると少なかった。さらには戦後の高度経済成長のときに取り残され、街は西から東に移っていきました。結果として古い建物が残ったんです。
―― 西部地区は、古い建物が残っているだけでなく、
リノベーションでそれらを生かして使っているところも多いですね。
深谷 景観保全ということだと思います。僕はスペインで料理の修業をしたんですが、ヨーロッパは、街全体の雰囲気が統一されているところが多いですよね。マドリード、パリ、ウィーン・・・。行政が管理しているだけでなく、街の景観が損なわれるような建造物が建つときには住民の反対運動もあった。京都や飛騨高山などは別ですが、日本のほとんどの街はそれがなくて、好き勝手に建てては壊し、壊しては建て。日本でもそれはおかしいんじゃないかという声が出始めたのがバブルの少し前くらいでしょうか。 西部地区でも、これらの景観は街の宝であり、残した方がいいという機運が住民の間で起こったんです。
―― 旅行で訪れる人に西部地区の愉しみ方を教えて下さい。
深谷 観光ガイドの記事はどうしても観光地を点で紹介しますが、西部地区が好きなリピーターの観光客の方は、点ではなく線で西部地区を楽しんでいる人が多いように思います。線とは何かというと、点と点の間にある昔からの函館の街並みや庶民の家です。それらを見て歩いていると、なんだかホッとするという人が多いですね。公会堂、教会、函館山といった有名な観光スポットだけをピンポイントで訪れると、そういうものを見逃してしまうことになります。
見どころ盛りだくさんの函館だが、外せないのが函館山からの夜景、五稜郭、そして2つの修道院だ。
函館旅行のハイライトはなんといっても函館山展望台からの夜景だ。天気が悪くて夜景が見られなかったりすると、自分の運のなさを呪わずにはいられない(私は2日連続、雲で見られず、3日目にようやく見られた)。地元の人によると、夜景を見るなら空気が澄む秋から冬、特にイルミネーションが増える12月がおすすめだそうだ。通な旅人は、函館山と反対方向から眺める「裏夜景」やベイエリアの夜景も楽しんでいるぞ。

函館に行ったら絶対に見逃してほしくないのが五稜郭。よくもあの時代にこんな星形のオシャレなデザインの城郭を築いたものだ。五稜郭の設計者は伊予(愛媛県)大洲藩出身の蘭学者・武田斐三郎(あやさぶろう)。西洋の築城書を頼りにフランスの軍人の助言も得ながら設計したらしい。本当にすごい人だ。ところで、五稜郭の素晴らしさは五稜郭タワーに上らないとわからない。だから五稜郭タワーを建てた中野真輔さんもすごい人だ。

2つを混同している人もけっこういるかもしれないが、トラピスト修道院は函館市の隣の北斗市にある日本最初の男子修道院。トラピスチヌ修道院は函館市内にある日本最初の女子修道院だ。どちらもフランスの厳律シトー会がルーツで、明治時代に当時の函館司教ベルリオーズによって招来された。トラピスト修道院は厳格な雰囲気で並木と赤レンガが美しく、修道士が作るバターやクッキーが有名。トラピスチヌ修道院は庭が美しく優しい雰囲気で、こちらもクッキーや素朴な味のマドレーヌ「マダレナ」が人気だ。
「大正ロマン、昭和レトロ、平成モダン」がコンセプト。
歴史情緒あふれる街「函館」にふさわしいホテル「HAKODATE 海峡の風」を紹介します。


客室
全56室63平米以上の広々とした客室では、ワンランク上の贅沢なご滞在をお楽しみいただけます。
お食事
料理はバイキング、西洋レストラン、ジャズの流れる寿司バーで港町ならではの食材を生かした海鮮料理が堪能できる。
お風呂
平成モダン、大正ロマンをコンセプトにしたお風呂をはじめ、宿泊者には、隣接する「啄木亭」の空中露天風呂でも湯をお愉しみいただけます。

